[特集]奈良 春日大社で曾孫に語る「鹿寄せ」


 

春日大社で曾孫に語る

奈良の風物詩 鹿寄せ

 

春日大社の鹿、大神神社の蛇、伏見稲荷の狐、石清水八幡宮の鳩…。

神様には「お使ひ」とか「お遣はし」とかいふもんがあつて大切にしてるな。これはどういふことかといふと「自然の方が偉い」といふこつちゃ。「自然を大切にする」ゆふことを、今の人は勘違ひして、下に見とる。さうやなくて、「尊敬」の更に上の「畏敬(いけい)」、「畏れ敬う(おそれうやまふ)」のが日本人の元々の感覺や。

春日大社は、元々、御蓋山(みかさやま)を御神體(ごしんたい)にして、山そのものを祀つてゐた。そこに、雷の神様で『古事記』に登場する「武甕槌神(たけみかづちのかみ)」と、國譲りを一緒に成就させた「経津主神(ふつぬしのかみ)」が来られた。最後に、藤原氏の氏神の「天児屋尊(あめのこやねのみこと)」がご夫婦でやつてこられて、今の御本殿の4柱が鎭まつた。今でも天皇陛下の勅使が參向される3月の「春日祭」の時には、「午の御酒式(うまのみきしき)」ゆふて、まず地面にお酒を注ひで、御蓋山に召し上がつてもらつてゐる。春日大社で一番はじめにできた建物も、このお酒を作るための「酒殿(さかどの)」やな。

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山があるから今も私らが生きてる。當たり前のこつちゃ。せやけど、これが大事なんや。

ギリシャにソクラテスやアリストテレスが出た時代、紀元前460年頃ゆふから、今から2,400年くらゐ前には、西洋でも自然を有りのままに見て、よう観察してた。せやから、科學が発達した。

ー ソクラテス、知つてる。『修身』に出てきた。

おお、よう覺へてるな。さうや、毒飲んで死んだ人やな。それが、宗教が幅を利かせるやうになつて、聖書に出てくることと違ふことは間違つてゐると言ひ出して、進歩が止まつた。コペルニクスやガリレオ、ニュートンやダーウィンが出てきて、苦勞の果てに「ルネサンス」が起こるのは、やつと16世紀になつてのことや。それまで2,000年近く停滞しとつた。

それが日本の場合には、ずっと八百萬の神(やおよろずのかみ)やから、宗教より上に自然があつて、発達し續けた。文學では、平安時代に紫式部が世界初の長編小説を残してゐる。女の人が生き生きしてゐるな。「おかみさん」とか「奥さん」とかいふて、今も大切にされてゐる。女の人がおらんかつたら誰も生まれてきいひんからな。太陽の天照大神も女神やな。

自然を有りのままに見たら、女性を畏れ敬ふがな。神秘から何かを學ぼうとする。鹿が何か教へてくれさうな氣がする。蛇が、狐が、鳩が、教へてくれる氣がする。變なことを言ふなあと思つたら大間違ひやで。リンゴが木から落ちるのを見て、ニュートンは引力に氣が付いたんや。地球が動いてゐても、宇宙が動いてゐても、どつちでもいいやないかと言ふ人があるが、それは違ふ。地球が動いてないと、その先の科學があらへん。前に進めない。嘘で嘘を塗り重ねることにもなるな。

戦後は、占領軍の「神道指令(文部科学省 公式サイト「神道指令」全文)」のせいで、神社が宗教法人にされてしもふて、日本人の氣持ちから自然を畏敬する心がなくなつてしまつた。「宗教」ゆふのは、明治に造つた言葉や。そのずつと前からある神道が宗教で片付けられるはずがないがな。神社が宗教法人やからゆふて、今すぐどうもないさかい、ええやないかと言ふ人があるが、それではあかんのや。地球が動いてゐても、宇宙が動いてゐても、目先の生活に関係ないのと一緒や。先々しぼんでしまふ。日本の元氣がなくなつてしまふ。穢れ(氣が枯れる)やな。

奈良公園の鹿は、野生の鹿や。時々、春日大社の近所の人が「お前のとこの鹿が、うちの畑、荒らしとるぞ」と、夜中に春日大社に電話かけてくることがあるさうやが、春日大社が飼つてゐるわけではない。春日さんの邊りが居心地がよくて、自然と住み着いてゐる。武甕槌神が鹿島から鹿に乗つてやつて来られたと説明されることがあるが、始めから鹿はゐて、住む場所を探してゐた武甕槌神が春日野に来られた時、鹿島の雰囲氣に似てゐるから、ここにしようと決められたと社傳にはあるな。

日本人は今、高校で物理を習ふ人間が減つてゐる。高等學校の物理の履修率は16.2%(文部科學省「平成27年公立高等学校における教育課程の編成・実施状況調査)。5分の1もをらへん。3人をつても1人もわかつてゐない。6人おつて、はじめて1人、物理のわかる人間がをる。これでは發展せんし、國を守ることも覺束ない。科學的に物事を考へられなくなると、迷信にも陥りやすいな。声の大きい奴の言ふことを、そのまま信じるやうにもなる。力に媚びる。かういふことも、神社が宗教になつてゐることと、あながち無関係ではないんやで。

おつと、そんなこと言ふてたら、そろそろ「鹿寄せ」始まるで。

100年以上前、明治40年に、明治天皇もご覧になつてゐる。これからも、奈良の鹿、大事にしような。

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鹿寄せ 概要

明治25年(1892年)から120年以上續く奈良の風物詩「鹿寄せ」。歷史は古く明治40年には明治天皇もご覧になつてゐます。ホルンの音色に誘はれ、森の奥からたくさんの鹿さんたちが集まつてきます。築百二十年を超える奈良の庄屋屋敷[はる家 ならまち]から歩いて行ける、宿泊するからこそ愉しむことのできる、奈良の朝の風景です。

春日大社で行なはれてゐる朝のお參り「朝拝(てうはい)」と合はせて、澄んだ空氣に包まれた、奈良の朝をご満喫ください。

  • 開催期間、開始時間は時期により異なります。
    詳しくは「奈良の鹿愛護会「鹿寄せ」公式サイト」をご確認ください。
  • 所要時間:20分程度
  • お申込み:不要
  • 費用:無料
  • [はる家 ならまち]から[奈良公園]まで(徒歩25分)
     

 

「奈良の鹿愛護會」公式ブログで、どんぐりの寄付をご掲載頂きました。[はる家 ならまち]のお庭で採れるドングリは、怪我をした鹿さんの餌や、奈良の風物詩「鹿寄せ」などで活用されてゐます。澤山集めて下さいましたご宿泊のお客様(特にお子様方)、誠に有難うございます。

関連サイト:奈良の鹿愛護会 公式ブログ


 
 

京都と奈良の傳統行事

 

毎月

リンクから各公式サイトをご覧いただけます。

 
 
■毎日※但し祭典執行日は行なわれません。
[奈良]春日大社 9:00 朝拝朝拝スケジュール

春日大社では毎日欠かさず、朝のお參りが行なわれてゐます。これを朝拝(てうはい)と呼び、神職の指導を受けながら豫約不要でどなたでも安心してご參加いただけます。「春日(かすが)」とは、「すがすがし」の「すが」に、接頭語「か」が付いた言葉といわれます。奈良でとびきりの清浄を味わひに、ぜひ早朝にお參りを。

■毎月 初午の日 [京都]伏見稲荷大社 10:00 月次初午祭
■毎月 初卯の日 [奈良]大神神社 10:00 卯の日祭
■毎月 初辰の日 [京都]貴船神社 10:00 初辰祭
■毎月 第一日曜日[京都]地主神社 14:00 えんむすび地主祭り
 
1日 [京都]平安神宮 9:30 月首祭
1日 [京都]石清水八幡宮 10:00 月始祭
1日 [京都]上賀茂神社 9:30 月次祭
1日 [京都]下鴨神社 10:00 月次祭
1日 [京都]伏見稲荷大社 月次祭
1日 [京都]松尾大社 10:00 月次祭
1日 [京都]平野神社 10:00 月次祭
1日 [京都]北野天満宮 10:00 月次祭
1日 [京都]貴船神社 10:00 月次祭
1日 [京都]八坂神社 10:00 月次祭
1日 [京都]梅宮大社 9:00 月次祭
1日 [京都]吉田神社 9:00 月次祭
1日 [京都]由岐神社 9:00 月次祭
1日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
1日 [京都]粟田神社 6:00 月次祭
1日 [京都]安井金比羅宮 11:00 月次祭
1日 [奈良]石上神宮 10:00 月次祭
1日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
1日 [奈良]大神神社 10:00 月次祭
1日 [奈良]龍田大社 8:00 月次祭
1日 [奈良]廣瀬大社 7:00 月次祭
1日 [奈良]大和神社 月次祭
1日 [奈良]丹生川上神社 上社 朔旦祭
1日 [奈良]丹生川上神社 中社 月次祭
1日 [奈良]丹生川上神社 下社 月次祭
1日 [奈良]談山神社 10:00 月次祭
1日 [奈良]ならまち御霊神社 7:00 月次祭
11日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
15日 [京都]平安神宮 9:30 月次祭
15日 [京都]石清水八幡宮 10:00 月次祭
15日 [京都]松尾大社 10:00 月次祭
15日 [京都]貴船神社 10:00 末社祭
15日 [京都]八坂神社 10:00 月次祭
15日 [京都]梅宮大社 9:00 月次祭
15日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
15日 [京都]粟田神社 6:00 月次祭
15日 [奈良]石上神宮 10:00 月次祭
15日 [奈良]大神神社 10:00 講社崇敬会月次祭
15日 [奈良]大和神社 月次祭
15日 [奈良]丹生川上神社 上社 月次祭
15日 [奈良]ならまち御霊神社 7:00 月次祭
16日 [奈良]丹生川上神社 中社 月次祭
17日 [奈良]談山神社 10:00 月次祭
17日 [奈良]率川神社 10:00 月次祭
18日 [京都]吉田神社 9:30 月次祭
19日 [京都]平安神宮 9:30 月次祭
19日 [京都]石清水八幡宮 10:00 厄除開運交通安全祈願祭
21日 [京都]白峯神宮 月次祭 於:崇徳天皇御廟所
21日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
21日 [奈良]春日大社 10:00 旬祭
22日 [京都]由岐神社 9:00 月次祭
23日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
25日 [京都]北野天満宮 10:00 月次祭 天神市(骨董市)
 
はる家 東山

はる家 東山

築百有餘年の京町家、職住一體の「表屋造り」を傳へる[はる家 東山]。京都驛から地下鐡十五分、年間千二百万人以上が訪れる京都東山に位置し、清水寺、祇園、南禅寺ほかへ徒歩圏内。朝晩は白川の小川沿ひを歩く清々しい散策をお楽しみ頂けます。
所在地:〒605-0026 京都市東山区古川町542番地4
[はる家 東山]のサイトを見る

はる家 梅小路

築百有餘年の京町家四棟が隣り合ふ[はる家 梅小路]。京都驛から程近く清水寺、祇園、金閣寺ほかにバス一本。町家ならではの「通り庭」があり、坪庭、出格子、圓窓、縁側など傳統的な京都の佇まひを傳へます。
所在地:〒600-8834 京都市下京区和気町1番地12
[はる家 梅小路]のサイトを見る

はる家 ならまち

築築百二十年を超える奈良の庄屋屋敷。日本庭園、家族風呂、縁側つき客室など傳統的な日本家屋の佇まひを傳へます。歴史的な町並み「ならまち」に位置し、奈良公園、大佛殿ほか五つの世界遺産に徒歩圏。奈良驛からバス八分(徒歩十五分)。
所在地:〒630-8342 奈良市南袋町31番地4
[はる家 ならまち]のサイトを見る

 
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