[特集]奈良 春日大社で曾孫に語る「國譲り」

投稿者: はる家 投稿日: 2019-11-14 in はる家, 旅する古事記

 

春日大社で曾孫に語る

國譲り

 

春日大社の「榎本神社(えのもとじんじや)」は、御本殿にお祀りされてゐる武甕槌神(たけみかずちのかみ)が奈良に来られる前からいてはつた、元々の神様や。皇室の方は、必ず先に「榎本さん」にお參りされてから、御本殿にお參りされる。ええ習慣やろ。春日大社で行なわれる大きなお祭りでは、必ず榎本神社でも同じことが行なわれてゐる。

ー おおじじさま、それ見たことある。

そうや、こないだの「御田植神事」やな。よう覚えてるな。またお參りしよな(頭、撫で撫で)。

[3月15日]奈良 春日大社 御田植神事

武甕槌神は『古事記』に出てくる「出雲」の國譲りで有名やな。出雲の「稲佐の浜」に、拳10個分くらいの長さの刀を、剣先を空に向けて海の上に立てて、先つちよに胡座をかいてやつてこられたと書いてある。「とんでもない奴が来た」つちゆう感じがよく出てるな。春日大社の「二の鳥居」をくぐつたところにある「剣先道」は、その時の布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)やな。

神武天皇が東征された時、熊野で元気がなくなって、一歩も動けなくなってしまわれた。そこで高天原から、武甕槌神が手伝いに行こかといふ話になる。「それには及びません。私が國譲りの時に使つてゐた刀を送り届けますから、それで充分でせう」と、剣が天から降ろされる。

高倉下(たかくらじ)といふおじさんが、夢に武甕槌神が出て来て、刀を倉に届けるから、神武天皇まで持つて行くやうに言はれる。目が覚めて、ほんまかいなと言われた通りに倉に行つてみると、ほんまに光る剣がある。高倉下が届けに行くと、神武天皇は元気になつて、その布都御魂剣を携えて、日本を建國されるわけや。

石上神宮 公式サイト「神武天皇をお助けした霊剣」

その布都御魂剣が、石上神宮の磐座(いわくら)の下に今も埋まつてゐるといふ傳説があって、長い間、誰も見た者はなかつた。誰も寄せつけないやうに柵で囲つて守られてゐた。磐座の話は、前にしたな。そうや、『鬼滅の刃』で有名になった「一刀石」や。ほんまに、よう覚えてゐるな。えらい、えらい(頭、撫で撫で)。

それが明治に、ある宮司さんが、本當か調べやうといふことになつた。これは興味本位で暴くんやなしに、世のため人のために調べさせてもらいたいのですと、心からお祈り申し上げて、掘つてみた。そしたら、ほんまに剣が出てきた。びつくりしたと思うで。

今の本殿は、その剣を納めるために建てられたものや。あの中に、あるんやで布都御魂剣が。そうや、鶏のお宮さんやな。最近は『鬼滅の刃』の「ヒノカミ神楽」に出てくる「七支刀」でも有名やな。またお參りしよな。

同じような國譲りの話は、實は日本國中にある。神武天皇をお祀りしてゐる橿原神宮にも、長山稲荷があるな。あれが、畝傍山に元々ゐてはつた神様や。大切にされてるやろ。大阪のお婆さんにも訊いてみ。きつとお近くにも似たやうな話があるはずや。また橿原神宮にもお參りしよな。

引つ越してきた時、元いた神様から國譲りをしてもらう。これを「宅神祭(たくじんさい)」という。新築する時も「地鎮祭(じちんさい)」といつて、元いた神様にご挨拶する。力の強い奴が威張つて、弱い奴をどうにでもしてよいといふのではない。剣道でもガッツポーズしたらあかんやろ。勝ち負けにこだわらへんのや。

譲られた後も、誰が作つてくれたものなのか、その御恩を忘れない。

一から作っていたら、この日本語もさうやけど、とても辿り着けない。テレビや新聞なんかで「長寿社會」と盛んにゆうとるが、仮に十数年伸びたところで、人の一生は依然として短く、できることは少ないことに変わりはないんや。令和2年で皇紀2,680年を迎えたわけやけれど、ギネスブック公認の世界最古の国・日本では、さういうことがよくわかつてゐる。京都と奈良では感慨もひとしおや。だから急がない。バトンを渡して未来に託していく。喜んで礎(いしずえ)にならうとする。先の大東亜戦争でも、散華された英霊の方々は、「後を頼む」といつて笑顔で逝かれたんや。国譲りの精神が根つこにあるんや。

[はる家 ならまち]に「おくどさん」が祀られてあるのは、ご飯に感謝してゐるだけやないんや。元々いた神様に敬意を表して祀られてゐる。これまで大事に守つてこられた方々がいらつしやらなかつたら、とつくの昔に建物もなくなつてゐたわけから、毎日の仕事始めにも、神棚行事をする時にも、先に、おくどさんを拝んでから、神棚に手を合わせてゐる。

幕末の有名な「江戸城無血開城」も、國譲りの精神を持つてゐなければ、どんなに西郷隆盛と勝海舟が立派やつたとしても、あんな偉業は成せない。他の人たちにも一般に教養があったから、共通認識として理解できたんや。「要するに、國譲りですな」と言つて、笑つたと思ふで。 「神道が何の役に立つのですか」と訊く人があるが、血が流れなくて済むんや。神話を失えば血が流れる。家も絶える。

戦後は、占領軍が神道指令を行なつた為に、神社が宗教法人にされてしまい、学校で『古事記』や『日本書紀』の神話を教えられなくされた。11月3日の「明治節」を「文化の日」といひ、神社を宗教といひ、軍隊を自衛隊といつてゐるやうでは、嘘が罷り通る世の中になつてしまう。力におもねるのと違つて、本當に正しいこと、國をよくしていくために必要なことを、メンツや金儲けを超えて優先できる國柄を育んでいかなあかん。國譲りの神話は、その素地になつてきたものなんや。

國を譲られる側も、やつぱり力がなくてはいかん。弱つちい、國を守れる力もない者には譲れへんやろ。学校で先輩から。職場で上司から。家庭で両親から。一生の内に何度か國譲りをされるわけや。強くならなくつちやいかんよ。安心して譲つてもらえるやうに。また譲るまで守り通せるやうに。

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京都と奈良の伝統行事

 

毎月

リンクから各公式サイトをご覧いただけます。

 
 
■毎日※但し祭典執行日は行なわれません。
[奈良]春日大社 9:00 朝拝朝拝スケジュール

春日大社では毎日欠かさず、朝のお参りが行なわれています。これを朝拝(ちょうはい)と呼び、神職の指導を受けながら予約不要でどなたでも安心してご参加いただけます。「春日(かすが)」とは、「すがすがしい」の「すが」に、接頭語「か」が付いた言葉といわれます。奈良でとびきりの清浄を味わいに、ぜひ早朝にお参りを。

■毎月 初午の日 [京都]伏見稲荷大社 10:00 月次初午祭
■毎月 初卯の日 [奈良]大神神社 10:00 卯の日祭
■毎月 初辰の日 [京都]貴船神社 10:00 初辰祭
■毎月 第一日曜日[京都]地主神社 14:00 えんむすび地主祭り
 
1日 [京都]平安神宮 9:30 月首祭
1日 [京都]石清水八幡宮 10:00 月始祭
1日 [京都]上賀茂神社 9:30 月次祭
1日 [京都]下鴨神社 10:00 月次祭
1日 [京都]伏見稲荷大社 月次祭
1日 [京都]松尾大社 10:00 月次祭
1日 [京都]平野神社 10:00 月次祭
1日 [京都]北野天満宮 10:00 月次祭
1日 [京都]貴船神社 10:00 月次祭
1日 [京都]八坂神社 10:00 月次祭
1日 [京都]梅宮大社 9:00 月次祭
1日 [京都]吉田神社 9:00 月次祭
1日 [京都]由岐神社 9:00 月次祭
1日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
1日 [京都]粟田神社 6:00 月次祭
1日 [京都]安井金比羅宮 11:00 月次祭
1日 [奈良]石上神宮 10:00 月次祭
1日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
1日 [奈良]大神神社 10:00 月次祭
1日 [奈良]龍田大社 8:00 月次祭
1日 [奈良]廣瀬大社 7:00 月次祭
1日 [奈良]大和神社 月次祭
1日 [奈良]丹生川上神社 上社 朔旦祭
1日 [奈良]丹生川上神社 中社 月次祭
1日 [奈良]丹生川上神社 下社 月次祭
1日 [奈良]談山神社 10:00 月次祭
1日 [奈良]ならまち御霊神社 7:00 月次祭
11日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
15日 [京都]平安神宮 9:30 月次祭
15日 [京都]石清水八幡宮 10:00 月次祭
15日 [京都]松尾大社 10:00 月次祭
15日 [京都]貴船神社 10:00 末社祭
15日 [京都]八坂神社 10:00 月次祭
15日 [京都]梅宮大社 9:00 月次祭
15日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
15日 [京都]粟田神社 6:00 月次祭
15日 [奈良]石上神宮 10:00 月次祭
15日 [奈良]大神神社 10:00 講社崇敬会月次祭
15日 [奈良]大和神社 月次祭
15日 [奈良]丹生川上神社 上社 月次祭
15日 [奈良]ならまち御霊神社 7:00 月次祭
16日 [奈良]丹生川上神社 中社 月次祭
17日 [奈良]談山神社 10:00 月次祭
17日 [奈良]率川神社 10:00 月次祭
18日 [京都]吉田神社 9:30 月次祭
19日 [京都]平安神宮 9:30 月次祭
19日 [京都]石清水八幡宮 10:00 厄除開運交通安全祈願祭
21日 [京都]白峯神宮 月次祭 於:崇徳天皇御廟所
21日 [奈良]橿原神宮 10:00 月次祭
21日 [奈良]春日大社 10:00 旬祭
22日 [京都]由岐神社 9:00 月次祭
23日 [京都]愛宕神社 10:00 月次祭
25日 [京都]北野天満宮 10:00 月次祭 天神市(骨董市)
 
はる家 東山

はる家 東山

築百有余年の京町家、職住一体の「表屋造り」を伝える[はる家 東山]。京都駅から地下鉄十五分、年間千二百万人以上が訪れる京都東山に位置し、清水寺、祇園、南禅寺ほかへ徒歩圏内。朝晩は白川の小川沿いを歩く清々しい散策をお楽しみ頂けます。
所在地:〒605-0026 京都市東山区古川町542番地4
[はる家 東山]のサイトを見る

はる家 梅小路

築百有余年の京町家四棟が隣り合う[はる家 梅小路]。京都駅から程近く清水寺、祇園、金閣寺ほかにバス一本。町家ならではの「通り庭」があり、坪庭、出格子、円窓、縁側など伝統的な京都の佇まいを伝えます。
所在地:〒600-8834 京都市下京区和気町1番地12
[はる家 梅小路]のサイトを見る

はる家 ならまち

築百二十年を超える奈良の庄屋屋敷。日本庭園、家族風呂、縁側つき客室など伝統的な日本家屋の佇まいを伝えます。歴史的な町並み「ならまち」に位置し、奈良公園、大仏殿ほか五つの世界遺産に徒歩圏。奈良駅からバス八分(徒歩十五分)。
所在地:〒630-8342 奈良市南袋町31番地4
[はる家 ならまち]のサイトを見る

 
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